2010年度談話会記録

updated on 2014年04月04日 2:11 pm

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第236回 竹下 秀 准教授 布による太陽紫外線防御効果
7月20日(火) 15:00~16:00 湘南
  太陽紫外放射から人の皮膚を守る手段として、衣服の着用やサンスクリーンの塗布が考えられる。本研究では、衣服の材料である布に着目し、その紫外放射防御能を評価した。
   布の紫外放射防御能は、素材、織そして色の影響を受ける。ポリエステル布は、その素材の特性により、綿布やナイロン布と比較すると優れた紫外放射防御能を有することが明らかになった。織としては凹凸織が紫外放射防御能に優れている。また、黄色い染色布は、他色で染めた布と比較すると優れた紫外放射防御能を示すことを明らかにした。さらに、プラスミドDNA鎖切断を指標とした新しいUV-A紫外放射(波長315 nm ? 400 nm)に対する防御能の指標を提案する。
第237回 林 義正 教授 将来型多点点火リーンバーンエンジン 10月5日(火) 15:00~16:00 湘南 PDF
  人間の生活に必須の要件として衣食住があるが、さらに生活を豊かにするためには「動」を欠かすことはできない。そして日常の生活における移動手段である自動車を手放すことは難しい。その動力源としてまだ主流であるエンジンの熱効率の改善は、自動車の恩恵を享受し続けるに急務となっている。1876 年にドイツのニコラス・アウグスト・オットーが4 サイクルエンジンを発明し、社会のニーズに対応してさまざまな技術が開発され発展してきた。エンジンの誕生と同時に出力と燃費の向上が求められた。1960 年代になると米国のマスキー法で象徴されるように排気の清浄化が緊急の課題となった。さらに、環境負担を軽減するため二酸化炭素の排出低減が急務となり、新たな角度から燃費の抜本的な改善技術が開発されている。その中でシリンダー内の混合気に中央部を濃く、周囲にいくにしたがって薄くなるように層状に濃淡をつけて、濃いところに点火する成層燃焼によるリーンバーンエンジンがある。シリンダー内のガスを平均的に見れば薄いが、濃いところから燃焼するため期待どおりの燃費を実現するのが難しかった。また、点火プラグやエンジンオイルの汚損など実用上の問題があった。これに対し均等に混合した希薄混合気を急速に燃料させた究極の低燃費エンジンへの発展性を秘めた技術を開発した。
第238回 谷川 隆夫 教授 電気推進用完全無電極プラズマ加速法実現への挑戦 10月22日(金) 14:00~15:00 湘南
  H-IIロケット(化学推進)の様な瞬時の大推進力は出せないものの、一度宇宙空間に出てしまえば比推力の大変大きい(即ち、燃費の非常に良い)電気推進機(プラズマロケットエンジン)は、これからの宇宙開発に欠かせない推進機である。
  ところが、これまでに開発・実用化されているモデルはプラズマと直接接触する電極の損耗により寿命が制限されている。これでは燃費の良さを充分に生かしきれない。我々は、この問題を完全に解消する完全無電極型電気推進機の実現へ向け、現在基礎開発研究を行っている。
第239回 横山 直樹 教授

高速度ビデオでの運動解析プログラムの開発


-OpenMPとMPIを用いた相関計算並列化によるトレース高速化-

12月21日(火) 10:30~11:30 湘南 PDF
 
 高速度ビデオ記録装置で得られた動画像を対象とし、興味のある対象あるいはその部位が、時間とともにどのように変位していくかをコンピュータを用いて解析するプログラムを開発している。対象部位の位置をサブピクセルの精度で求めるためには、画像の一致度を計算する必要があり、対象部位をとりまく画素数が大きい場合や部位の数が多い場合には、最新のコンピュータを用いても計算負荷が重く、処理時間がかかる。この画像の一致度は相互相関係数を求めることで評価するが、計算を工夫することで並列化が可能である。具体的には複数のホストを高速ネットワークで接続し、処理を分散することで高速化を行う手法としてMPIがスーパーコンピュータを中心に使われている。また単一ホスト上でも複数のコアを活用するOpenMPが用いられている。場合によってはこれら二つが併用されることもある。今回はこのOpenMPとMPIについて、PCから最新のスーパーコンピュータ上での具体的な使用例について検討する。